書きっぱなしジャーマン

投げっぱなしジャーマンのごとく書き殴った映画鑑賞記録です。

何者

あらすじ

就職活動の情報交換のため集まった大学生の拓人(佐藤健)、光太郎(菅田将暉)、瑞月(有村架純)、理香(二階堂ふみ)、隆良(岡田将生)。海外ボランティアの経験や業界の人脈などさまざまな手段を用いて、就活に臨んでいた。自分が何者かを模索する彼らはそれぞれの思いや悩みをSNSで発信するが、いつしか互いに嫌悪感や苛立ちを覚えるようになる。そしてついに内定を決めた人物が出てくると、抑えられていた嫉妬や本音が噴きだし……。

映画『何者』 - シネマトゥデイ

感想

自分が就職活動をしていたのは 2008/冬 〜 2009 でちょうど就職氷河期と言われている時期でした。就職活動に良い思い出はないし、就職活動に意識高めに取り組む人を拓人のようにどこか冷めた目で見ていたという自覚もあり、なんだか嫌な気分になりそうなので見ようか迷っていたのですがわりと話題になっていたようなので見てみました。

就職活動をテーマにはしていますが、そこで描かれるのは若者たちが自分に迷いつつも不器用に進んでいく様と、そんな自分が間違っていない、認めてもらいたいという思い、いわゆる承認欲求ですね。

就職活動の時期というのは、得てして自分の人生の振り返りや他者と比較するきっかけになります。だからこそ、そこで自分より人生が上手くいってそうな人に対して嫉妬が生まれやすく、それをごまかすために嫌な部分を見つけて自分に優位に立たせるというのはありがちなこと。 そういった点があるあるネタとして上手く描かれているのですが、自分でも心当たりがありすぎるような言動が多数あったので、(良い意味で)じわりと嫌な気分になる映画でした。

印象に残ったワードとして「想像力」というものがあります。僕は想像力というのは非常に重要で、自分がこうすることで人がどう思うのか、何が起きるのかというのを想像できるというのは、様々な方面で役に立つスキルなんじゃないかなと思っています。ちなみに SNS なんかで意図せず炎上発言なんかをしちゃう人は、おそらく想像力が欠けていると思うのです。

今回、拓人はサワ先輩にも言われていましたが、もっともらしいことを言いながら何もしていない隆良と、批判を受けながらも自分で劇団を立ち上げて週一回必ず公演をやっているギンジを、たかだか Twitter の 140 文字や名刺のデザインが同じ雰囲気というだけで似ていると言ってしまうあたり、想像が足りてなかったのでしょう。おそらく拓人は想像力はあるけど、ギンジに関しては想像する(考える)ことを拒否していたということだと思います。

文句をつけるとすると、まず時系列が前後するシーンの切り替わり部分がわかりづらく、切り替わってからしばらくしないと気づけないというのが不親切だと思いました。また、後出しジャンケンによるプチドッキリがやたらとでてきて、それいる? という感じになりました。 上記が合わさることで全体的に話がごちゃごちゃするので、不必要に難解になってしまっているなという印象を持ちました。

ただ、メッセージとしては「あれこれ理由つけて先延ばしにしてないでとりあえずやれよ」、「たかだか 140 文字や 1 分間じゃ人のことなんてわかるわけないだろ」という熱いものを受け取った気がしていて、見てよかったなと思える作品でした。