書きっぱなしジャーマン

投げっぱなしジャーマンのごとく書き殴った映画鑑賞記録です。

ヒメアノ~ル

あらすじ

普通の生活に焦燥感を抱くビル清掃会社のパートタイマー岡田(濱田岳)は、同僚からカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、高校時代の同級生・森田(森田剛)と再会。ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談された岡田は、森田がかつていじめられていたことを思い出し、不安になるが……。

映画『ヒメアノ~ル』 - シネマトゥデイ

感想

早稲田松竹 2016/10/01〜週の2本立てラインナップ2本目です。

原作は見たことがなかったのですが予告編を何回か見ていたので、前半ラブコメ、後半バイオレンスというだいたいのストーリは把握してました。ちなみに予告編の作りは素晴らしかったですね。

でまあ、前半はほんとに歯の浮くようなラブコメディ。お約束的な展開も多いのですがまあ普通に笑っちゃいまいます。そんな感じでのほほんと見ているのですが、それと並行して確実になにかの歯車が狂いかかっている。不穏な様子も同時に描かれていて微妙に緊張感をもったままストーリーが進行してきます。

ポップなラブコメ展開は岡田とユカが結ばれ、それを森田が察知したと同時に突如終わりを告げます。岡田に対して明確に殺意をもつ森田、そしてこのタイミングでまさかのタイトルバック。バイオレンス展開の始まりを暗示する見事な演出だとおもいました。

ただこの時点では実はまだギリギリのラインでまだ取り返しのつかない状態ではない範囲でしたが、完全に歯車を狂わせた最後のひと押しは、岡田と森田の同級生であった和草とその恋人の歪んだ愛でした。恋は盲目ということでしょう。

そこからのバイオレンス展開は目を覆いたくなるよう凄惨な描写。森田の異常性とそれに至る悲しい過去も同時に描かれるのですが、若干いじめの部分にフューチャーしすぎている気もします。あそこまで異常性をもつ理由には家族関係とかもあると思うのですが、実際に身寄りもなさそうだし。でもその部分は特に描かれないので、少し説明不足感は否めない。

あと、個人的には安藤がもう少し活躍するところを見たかったです。せっかく前半でキャラが立った感じでフリも効いていたと思うので、ただやられるだけじゃなくて一矢報いるような部分があってもよかったんじゃないかな。

映画としては前半のラブコメも後半のバイオレンスと少しもの悲しい雰囲気も含めて感じるところがあり、とても楽しめたのですが、やっぱり森田の過去の描写が少し足りない気がしていて、それがラストの岡田と森田の車中のシーンでカタルシスが生まれきらなかった要因でもあると思います。

ちなみに岡田の THE童貞 という言動。彼女に経験人数や初体験の年齢を聞いて勝手に落ち込むやつは最低だったし最高でした。